「しゃべるのは上手なのに、『ゃ・ゅ・ょ』や『っ』がまだうまく言えない…」
そんなお悩み、ありませんか?お子さんが一生懸命お話している姿はとてもかわいらしいですが、「ちょっと違うかな?」と感じるときもありますよね。でも、どう教えてあげたらいいのか分からず、つい戸惑ってしまう方も多いと思います。
実は、就学前の子どもたちにとって、拗音(きゃ・しゅ・ちょ など)や促音(小さい「っ」)は、言葉の中でも少しだけ難しい部分。いわゆる“発音のハードル”と呼ばれるところです。音の切れ目や、口の形、声のリズムを感じとる力が必要になるため、自然に身につけるには少し時間がかかることも。
でも大丈夫です。年齢や発達段階に合ったステップでアプローチしていけば、お子さんは少しずつ、そして確実に「わかった!」「言えた!」という成功体験を積んでいくことができます。
この記事では、そんな“ことばの入り口”に立ったお子さんと向き合うママ・パパのために、年齢別の教え方、遊びを通じた練習方法、保育の現場で使われているプロの指導法などをわかりやすく解説していきます。
楽しみながら、少しずつ。「できた!」の笑顔が増える、そんなヒントをたくさんお届けしますね。
なぜ「ゃ・ゅ・ょ」と「っ」でつまずくの?保護者の悩みに多い声とは
- 「違いがわかっていないみたい…」
- 「書くときはできるのに、読むときは抜けちゃう」
- 「言い間違いを直そうとすると、怒ってしまいそうになる…」
こうした声は本当によく耳にします。特に、言葉を覚え始めた3〜6歳の時期は、口の動きや音のリズムをつかむことが難しく、どうしても「ゃ・ゅ・ょ」や「っ」といった小さな音が抜けてしまうことがあります。大人にとっては当たり前のように感じるこれらの音も、子どもにとっては複雑で、繊細な感覚を必要とする部分なんです。
さらに、「言い間違いを直そうとして注意したら、子どもがふてくされてしまった…」というケースも少なくありません。せっかく楽しくおしゃべりしているのに、そこで指摘されると、「話すのが楽しくない」と感じてしまうこともあるんですね。
でも大丈夫。こうした“つまずき”は、どの子にもあるごく自然な成長のひとコマ。焦らず、できていることを見つけて、「楽しく続ける」ことがなによりのサポートになります。
大切なのは、「できないこと」に注目するよりも、「できかけていること」「ちょっと面白く言えたところ」などに目を向けること。そして、間違いさえも“学びのチャンス”として笑って受け止める姿勢が、お子さんのことばの力を大きく育ててくれるんです。
「ゃ・ゅ・ょ」の教え方|年齢別アプローチで自然に身につけよう
3〜4歳|音の感覚を楽しむ時期
この時期はまねっこが大好き!「きゃきゃきゃ」「しゃしゃしゃ」など、リズムにのせて声を出す遊びが効果的です。手をたたきながら言ってみたり、ぬいぐるみに語りかけるように声を出すのもおすすめ。「きゃー」「にゅー」などの音を感情たっぷりに表現すると、音に親しみが湧いてきます。まずは「音を楽しむこと」がゴール。できている・できていないよりも、「一緒に言ってみよう」という雰囲気づくりが大切です。
4〜5歳|音の違いを意識し始める時期
この年齢になると、「や」と「ゃ」の違い、「しゅ」と「す」など、微妙な音の違いに気づけるようになります。「や・ゆ・よ」と「ゃ・ゅ・ょ」のカードを見比べたり、音を聞いてジェスチャーで答える遊びが効果的。たとえば、「しゃぼんだま」の「しゃ」と「さぼんだま」の「さ」を交互に聞いて、どちらの言葉が本物かを当てるクイズも楽しいですよ。「ことばの聞き分け遊び」を通して、自然と音の違いに耳が育っていきます。
5〜6歳|音と文字の関係を理解する時期
この時期には、発音だけでなく、文字とのつながりを意識できるようになります。カードや絵本を使って、拗音が入っている言葉を探す「ことば探しゲーム」や、文章の中から「ゃ・ゅ・ょ」をマルで囲むワークも効果的です。「にゃ」「きゅ」などを含んだ言葉を読んだり書いたりすることで、「音」と「文字」がリンクしていくのを実感できます。読みと書きの両面からアプローチしてみましょう。
小さな「っ」の教え方|年齢ごとの理解ステップ
3〜4歳|音の変化を感じる遊びから
「かに、かっかっかに!」など、リズム遊びを取り入れることで、自然に音の変化に気づけるようになります。ジャンプやストップの動きを交えて、「とまる音」と「続ける音」の違いを体で感じるのもおすすめです。「ぱっ」「とっ」といった声を出すたびに動きを止めることで、促音のリズム感が身についていきます。
4〜5歳|音の違いを聞き分ける時期
「とけい」「とっけい」など、似ているけど少し違う言葉を聞き比べることで、“止まる音”の感覚が育ちます。録音して自分の声を聞いてみると、意外と気づきがあるかもしれません。また、好きなキャラクターの名前に促音を入れて言ってみたり、声に出すことにバリエーションをつけるのも効果的です。音を遊びとして楽しむ時間が、自然な習得へとつながります。
5〜6歳|音と文字の関係を理解する段階
この時期には、「どこに『っ』が入っているかな?」といった問いかけが有効になります。「こっぷ」「ざっし」など、身近な言葉を使って促音の位置を探す遊びをしたり、「『さっかー』の『っ』は、どこにある?」とクイズ形式で出してみたりするのもおすすめです。書き取りの中で「っ」が抜けやすい子には、手を止めて一呼吸おいて書くことを習慣づけると◎。音と文字の一致を意識しながら、繰り返し練習することでしっかり身につけていけます。
【実例つき】こんなときどうする?よくある“つまずき”と解決アイデア
「にゃ」「きゅ」などが言えないときの工夫
動物の鳴き声をまねするのがとても効果的です。「にゃーにゃー」「きゅーん」など、感情を込めた音遊びを通じて、自然と音に親しみが持てるようになります。ぬいぐるみや動物のおもちゃを使って「この子は『にゃー』って鳴くね」など、物語風にしてあげると、より楽しく覚えられます。また、言えたときにはしっかり褒めてあげることで、自信にもつながります。
おうちの中だけでなく、公園や動物園など外出先でも「きゅーきゅー鳴いてるね!」と実際の音とリンクさせてあげると、より理解が深まります。音を無理に言わせようとするよりも、たくさん聞いて・まねて・楽しむ中で少しずつ定着していきます。
「っ」を飛ばして読んでしまうときは?
「とまと」と「とまっと」など、似た言葉を使いながら、音の数を指で数えながら読むと効果的です。たとえば「さかな → 3音」「さっかー → 4音」と、リズムに合わせて指をポンポンと叩きながら読むことで、音の違いに気づきやすくなります。
また、「ストップゲーム」もおすすめ。例えば「さっ」と言ったらジャンプして止まる、というように、音を聞いて体を使って反応する遊びを取り入れると、「止まる音」の感覚が身につきやすくなります。テンポを変えたり、お子さんの好きなキャラクターの名前を使ってみたりすると、より楽しく取り組めますよ。
「っ」は大人でも文字で書くときにうっかり忘れることがあるくらい、感覚でつかむのが難しい音です。遊びを通じて繰り返し出会うことが、無理なく覚えていくカギになります。
絵本や動画を活用した練習法
リズムのある絵本や、繰り返しの多い歌は、拗音や促音の習得にとても効果的です。たとえば「もこ もこもこ」や「じゃあじゃあびりびり」などの絵本は、単語が短くリズムがよいので、言葉のリズムを感じやすくなります。
また、アニメや動画では「おかあさんといっしょ」や「いないいないばあっ!」など、ことばのリズムを重視した番組が豊富です。お気に入りのキャラクターのセリフをまねしたり、テーマソングを口ずさむだけでも、自然と発音力が育っていきます。
読み聞かせや動画を見るときには、「どこに『っ』が出てきたかな?」「今の言い方、ちょっと『しゃ』だったね」など、会話を通して気づきを与えてあげるとより効果的です。
保育園・幼稚園の先生はどう教えている?プロの指導法を家庭に応用
園では「音を楽しむ」「まねする」「失敗してもOKな雰囲気」が大事にされています。先生たちは、子どもたちの発音を正そうとするのではなく、「まずは一緒に楽しむ」ことを大切にしているのです。たとえば「しゅっしゅっぽっぽー」とみんなで声をそろえて言ったり、「にゃーにゃー」と猫になりきってみたり、音の世界で自由に遊ぶことを通して、自然と拗音や促音が身についていきます。
また、子どもが言い間違えてしまったときも、「それ違うよ!」と否定するのではなく、「今の言い方、なんか新しいね〜!」とポジティブに受け止める工夫もしています。こうした雰囲気があるからこそ、子どもは失敗を恐れずに声を出せるようになるのですね。
家庭でもこの姿勢を参考にするのがおすすめです。たとえば、おうちの人も一緒になって変な発音をまねしてみたり、ことばあそびの絵本を読みながら「あれ?今『しゅ』って言ったかな?」と笑いながら確認したり。子どもにとって一番身近な大人が「一緒に楽しんでくれてる」と感じることで、安心してチャレンジできます。
さらに、保育園では日々の活動の中に拗音や促音が登場する言葉を自然に取り入れています。「しゃぼんだま」「きゅうり」「ちょきんばこ」など、日常の中に学びのヒントがあふれているのです。おうちでも、食事やお風呂のときに「今日のおかずは“ぎょうざ”だね〜、“ぎょ”って言えるかな?」と声かけすることで、自然に練習につながっていきます。
拗音・促音を遊び感覚で!家庭でできる楽しい言葉あそび
買い物やおでかけ先を活かそう
「チョコレート」「ギョーザ」「ミャク」など、お店や道の中で出会える言葉がたくさん!買い物中に商品名を声に出して読んだり、「きゃべつは“きゃ”がつくね!」と発音してみたりと、ちょっとした会話の中で自然と拗音や促音に触れられます。
また、おでかけ中に見かけた看板やポスターの言葉の中から、「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」が入っているものを見つける“ことばさがしゲーム”をしてみるのもおすすめです。「ラーメン屋さんの名前に“ゅ”が入ってるね!」と、声に出すだけで学びにつながります。兄弟がいれば競争形式にして盛り上げてもOK♪
お風呂や食事の時間にできること
お風呂では、湯気で鏡に文字を書いたり、お風呂用のおもちゃやクレヨンで「しゃ」「ちょ」などの拗音を描いて一緒に読み上げると楽しく覚えられます。水に浮かべたひらがなマグネットを使って、言葉を組み合わせる遊びもおすすめです。
食事の時間には、その日のメニューから拗音・促音が含まれる食べ物を探してみましょう。「スープ」「チャーハン」「おっこん焼き(お好み焼き)」など、言葉にして読み上げるだけで十分な練習になります。お子さんが言いにくそうな言葉があれば、あえて何度も言うのではなく、「一緒に言ってみようか♪」と寄り添う姿勢が大切です。
続けるためのポイント
「できた!」を大切にしましょう。発音の練習は毎日コツコツよりも、「楽しさ」を優先するほうが続きます。「今日は“しゃ”って言えたね、すごいね!」とできた瞬間を一緒に喜ぶことで、次への意欲につながります。
「できなかったこと」よりも「ちょっとできた」「ちょっと気づけた」ことにフォーカスして、無理なく続けられる環境を作りましょう。たとえば、週末の家族の時間に“拗音・促音ことば探しクイズ”をするなど、日常の中で習慣づけていくと、遊びの延長で自然に力がついていきますよ。
「ゃ・ゅ・ょ」「っ」に強くなる!おすすめ絵本&歌
拗音・促音がたくさん登場する絵本を選ぶのがポイント。「きゃべつくん」「もこ もこもこ」など、繰り返しの多い絵本が◎。
また、歌なら「アイアイ」や「むすんでひらいて」など、リズムに乗せて発音しやすいものを選びましょう。
間違いをどう直す?言い間違いを責めないための声かけ例
- 「惜しい!もう一回言ってみよっか」
- 「ちょっと違ったけど、なんかかわいい言い方だったね♪」
- 「あってる?って一緒に考えてみようか」
- 「すごい!“しゃ”に近づいてきたね。あとちょっと!」
- 「おもしろい言い方になったね!ママもまねしていい?」
子どもが間違えたとき、つい正しい言い方を押し付けたくなってしまうこともありますが、そこはぐっとこらえて、“間違いも成長の一部”と受け止めることが大切です。発音は何度も繰り返していく中で少しずつ育っていくもの。1回で直す必要はありません。
「惜しいね」「ちょっと違ったけど近いね」と声をかけることで、子ども自身が「もう一回やってみようかな」と前向きになれます。また、子どもが自分から「これで合ってる?」と聞いてきたときには、「どう思う?一緒に考えてみようか」と、答え合わせを“楽しい時間”に変えることがポイントです。
そして何よりも、「まちがえても大丈夫」「言いなおせる環境」があることで、子どもは安心して挑戦できます。間違いを責めるのではなく、“笑いながら受け止める”姿勢が、言葉の力を育む最大のサポートになります。
遊びながら学べる!文字の習得に役立つ家庭学習ツールのご紹介
絵カードやマグネット
文字と絵がセットになったカードは、視覚と意味を同時に結びつけることができるため、覚えやすさがアップします。特に拗音・促音が入った言葉のカードを用意すると、「しゃ」「っこ」などの音が含まれている単語に自然と触れることができます。
また、お風呂で使える防水マグネットタイプのひらがなも人気です。お湯に浮かべたり、壁に貼ったりして遊ぶうちに、いつの間にか文字に親しみがわいてきます。「しゃ」はどれかな?とクイズ形式にしても楽しめます。お風呂の時間が学習タイムになるので、無理なく習慣づけられるのもポイントです。
アプリや動画教材
音声つきのひらがな学習アプリは、正しい発音を耳から学べるのが魅力。タッチしたら読み上げてくれるタイプや、歌に合わせて拗音や促音が登場するものなど、飽きずに取り組める工夫がたくさんあります。画面に出るキャラクターと一緒に学べるアプリなら、遊びながら自然と発音に慣れていきます。
YouTubeなどの動画教材も活用できます。「ひらがなソング」や「拗音促音の読み方レッスン」など、親子で一緒に視聴して真似をしてみましょう。動画の中でキャラクターが話す言葉をまねして繰り返すことで、聞く・言う・見るの3つの感覚が統合されて定着しやすくなります。
文字に触れる知育おもちゃ
ボタンを押すと音が出るひらがな玩具や、音声ガイドつきの知育タブレットもおすすめです。たとえば「しゃ」を押すと「しゃ、しゃぼんだまのしゃだね」などと言葉の例が流れるものもあり、発音だけでなく言葉の使い方まで学べるようになっています。
また、文字をなぞるタイプのホワイトボードや、水で描ける文字練習シートなど、手を動かして書きながら覚える教材も効果的です。指でなぞったり、ペンでなぞったりしながら、「ゃ・ゅ・ょ」「っ」の形と音を一致させることができます。遊びながら五感をフル活用することで、楽しく確実に力がついていきます。
就学前に覚えておきたい音のポイントまとめ【チェックリスト付き】
- □ 「きゃ・きゅ・きょ」などの拗音が発音できる(例:きゃべつ、きゅうり、きょだいなど)
- □ 小さい「っ」の音を意識して聞き取れる(例:さっかー、がっこうなど)
- □ 拗音・促音を正しく書き取りできる(文章や単語での使用も含む)
- □ 会話の中で拗音・促音を自然に使える(読んだり話したりするとき)
- □ 読み聞かせのときに「ゃ・ゅ・ょ」「っ」の音を自分で再現できる
- □ 自分の言葉の間違いに気づき、気にせず言い直せる(修正できる柔軟性)
チェックはあくまで目安です。すべて○になっていなくてもまったく問題ありません。お子さんの「今できていること」「ちょっとできそうなこと」に注目して、できるだけポジティブな声かけを心がけましょう。
「発音はゆっくり育つもの」「遊びの中で楽しく覚えていくもの」と捉えて、焦らずゆったりと見守っていけるといいですね♪
拗音・促音を無理なく習得するために大切なこと【まとめ】
- 発音や文字の習得には個人差があります。早く言えるようになる子もいれば、じっくり時間をかけて覚えていく子もいます。それぞれの子に合ったペースで見守ることが大切です。
- 遊びながら、自然に学べる環境づくりがポイントです。日常の中に「楽しい発見」をちりばめることで、無理なく学習につながります。
- 「できた」を積み重ねていくことが最大のサポートになります。小さな成功をその都度喜び、自信につなげていきましょう。
焦らず、比べず、お子さんのリズムを大切に。楽しい会話やことばあそびの中で、少しずつ言葉の世界が広がっていきますよ♪